タイマッサージをやるからには上手になりたい、と誰しも思う。

DSC_3389どうすれば上手になれるか、ということについて考えてみたい。簡単に考えると、「タイ政府認定資格」を取得すればばっちりのように思えるが、そんなに甘いものではない。民間のスクールというのは基本的には営利目的でやっているので、講習が30時間と決まっていればその時間で終わり、生徒の修了レベルに関わらず「タイ政府認定資格」は発行される。テストをしてダメ出しをしたり、ちゃんとできるまで講習延長したり、不合格にすることはまずない。お客様である受講生の方が気分よく帰ってくれることが大事だし、できるまで時間延長していたらいつ終わるかわからないし、講師の方の時給を払わなくてはいけなくなる。
その結果何が起こるかというと、卒業した受講生は自分が上手なのか下手なのか、プロとして通用するのかしないのか、よくわからない。いや、そこまで考えればいい方だ。マッサージにうまい、下手があることすら気が付かず、教わった通りにできているのだから自分はばっちりできるようになった、と思い込んでいるケースがほとんどではないだろうか。

タイマッサージは芸術である。と言う人がいる。それほど大げさなものではないと思うが確かにそういうところはある。ピシット先生はタイマッサージは2時間の交響曲である、と言っていた。全体構成、流れのスムーズさ、個々の技の気持ちよさ、そういうものの総合的な結果として、お客さんがどれだけ満足していただけるかの勝負である。

芸術と考えると、「資格」を取れば一人前になれる、わけはないのは自明だ。音楽にしても絵画にしても小説にしても、芸術には資格など存在しない。芸術の世界では資格と言う概念自体が意味を持たない。芸術の価値はそれを鑑賞する人によって決まり、芸術家はこの世に価値あるものを残そうとして技を磨く。

さて、タイマッサージだが、その他の芸術と決定的に違う点が一つある。それは、自分で自分の作品を鑑賞できないことだ。だから、自分の作品が客観的に見てどのくらいいいものなのかということがさっぱりわからない。だからタイマッサージを上手になりたいと思っても、自分のマッサージがそもそもどのくらい下手なのか、どこが下手なのか、そこからわからないという壁がある。

その壁を破るためにはまずは自分が目指す「いいマッサージ」とはどういうものかしっかりイメージできなければならない。美味しいものがわからない人が料理人になれないように、まずはいい悪いの価値判断ができることが大事だが、若い方はまだマッサージの良さ自体を体でわかっていないところがあるので、この壁は実はハードルが高い。まずは、上手と言われる多くの先生、そして一般のサロンなどでいろいろな人から受けて「上手なマッサージ」のイメージを作ること、そして、上手な人は何が上手なのだろうということを考える。下手な人は何がだめなのだろうと考える。そして自分はどっち側の人間だろうと次に考える。そして実際に自分がいいと思うやり方で先生にやってみて、先生にどうだったか聞いてみる。タイマッサージの上達にはその繰り返ししかないと思う。