ピシットスタイルにしろ、ワットポースタイルにしろ、ベーシック・マッサージの手技の順番は決まっている。この順番に意味はあるのだろうか?

例えば、脚の指圧を行うのは左脚が先か、右足が先か。同じ場所に行うのは指圧が先か手掌圧が先か。太腿の手掌圧は膝側からやるのか腰側からやるのか。等々

手技療法によっては、「男は左から女は右から」とか、仰向けに寝たときに開きの大きい脚(が陰の状態だから)からとか、リンパ管に向かって流すのでこちらから押すとかいろいろな考え方がある。タイマッサージはどうか。

ワットポーのベーシックマッサージは指圧が先で手掌圧が後というのはかなり厳密に守られている。しかし左右や手技が進む方向については意外に無頓着だったりする。

施術の理屈を考えると、指圧、手掌圧、ストレッチの順に行うのがいいように思うが、ピシットスタイルやチェンマイスタイルにおいては、指圧と手掌圧の順番はしばしば逆転する。

結局、順番はどっちでもいいようだ。どの順番でやるのが一番効果が高いか長い歴史の中で検証されてきたはずだが、どの順番でもさほど変わらなかったのだろう。マイペンライ(どっちでもいい、気にしない)というタイ人気質によるものということも言える。

ひとつ言える事は、順番で覚えていないと手技を連続的に行うことができないことである。流れで覚えているから抜けなくすべての手技を正しく行うことができる。そしてタイマッサージの手技の順番は前の形が次の形を連想させるような連続的な流れで進んでいくので覚えやすいし、施術者の動きが少なく静かに美しく進んでいく。

順番に医学的な意味がないにしても、施術者は順番通りにやるしかないのである。