タイマッサージを習うのにチェンマイに行く人が多い。バンコクにもワットポー、ピシット、プッサパといった日本人にも通いやすい学校はある。ではなぜチェンマイなのか。

まず、とにかく安く上がることが大きい。今ではワットポー本校の30時間コースでも8500バーツである。昨今の円高で今日現在、1バーツ=2.9円となっているのでかなり割安感は出てきたが、それでも25000円になる(十分安いのだが・・・)。チェンマイでは例えばワンディだと60時間で4000バーツなのでワットポーの四分の一である。そして滞在費も安い。バンコクにも安宿はあるが、都会なので女性が一人で泊まるのは何となく怖い。チェンマイの安宿は周辺の雰囲気がのんびりしていて安心感があるし、散歩をするのも気持ちがいい。

チェンマイは観光地だというイメージも大きい。治安も良さそうだし、観光を兼ねて長期滞在できるというのは魅力だ(実際は、寺院とジャングルくらいしかないので、そんなに楽しいわけではないのだが・・・)。

決定的なのは、スクールの選択肢がたくさんあることだろう。大きな学校ではオールドメディソン、ITM、ワットポーチェンマイ校、中規模な学校でTMC、ロイクロ、ニマンヘミン、小規模な学校でワンディ、レックチャイア、ママニット、マニアックな学校でピシェット、サンシャインという名前がすぐに挙がる。チェンマイこそタイマッサージのメッカかと思ってしまうのだが、実はどの学校も外国人向けということを強く意識しているので、タイ人の生徒は余りいない。タイ人はもっと安い厚生省のセミナーに通ったり、働くお店で習ったりするので(タイ人にとっては受講料が高い外国人向けの)スクールには通わないのだ。

バンコクのワットポーは、タイ人向けには外国人の半額程度で教えるのでタイ人だらけである。だから、たくさんのタイ人と仲良くなって、昼食を共にしたりしながら楽しく習うならワットポーである。

話が逸れてしまったが、何が言いたかったかというと、外国人向けとはいえ、チェンマイが現在のようにタイマッサージのメッカになったのはシントーン氏の功績によるものである。数年前に大変残念なことにお亡くなりになったが、チェンマイスタイルマッサージはシントーン氏の作品であり、ワンディ先生もピシェット先生もITMのチョンコル先生もロイクロのクッキー先生もニマンヘミンのタノン先生も皆シントーン氏のオールドメディソン出身である。ピシェット先生(バンコクのピシット先生とは別の人物)にはどうやら別の師がいたらしく、今ではよりアクロバティックで宗教的なマッサージワールドを繰り広げているらしいが、オールドメディソンがなければ現在のピシェット先生はいなかっただろう。

一人でこれだけの文化を築き上げたシントーン氏、もっと評価されるべき偉人だと思う。