タイマッサージに限らないことだが、実は、マッサージがどう体にいいのかは医学的によくわかっていない。肩こりや腰痛は命に関わる病気ではないので優先順位として対象になりにくかったからだ。

だから、鍼灸もマッサージも効果があることはわかっていても、それが科学的にどういう作用をもたらしているかは謎だった。

先日、NHKスペシャルで腰痛などの痛みは精神的なことが原因になりうるという驚きの医学的知見を伝えていたが、肩こりや腰痛のような外面的な痛みはその他に色々なことが原因となる。色々なことが原因となり、色々なことが症状改善に効果があるので話がややこしくなる。

その中で、ひとつの有力な仮説がトリガーポイント理論である。トリガーポイント理論はアメリカの医者であるサイモンとトラベルが1983年に出版したトリガーポイントマニュアルで世に出た。

トリガーポイント理論についての説明はまたの機会に譲るが、これまで西洋医学の世界では無視されてきた筋肉の痛み、そしてその治療法についての初めての理論的な仮説であり、その内容が意外であると同時に非常に説得力があったため、鍼灸治療師やカイロプラティック治療師からも支持を得、今日現在、鍼灸マッサージ療法のバイブルとなっている。

しかしながら、今でもトリガーポイント理論で説明できない症状や治療法は多々あり、人間の体というのは実に複雑で、いろいろなことが原因で不調になることがわかっている。前述した精神的なことが原因になるというのもつい最近わかったことなのだ。

それを踏まえた上でトリガーポイントに戻る。トリガーポイントについての本はたくさんあるが、実用的なのは「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 」だ。この本は痛みの症状別にトリガーポイントを図で示し、そこを指圧すると症状が改善することを示している。

その本を見ていて、なんとなく前に習ったワットポータイマッサージスクールの治療マッサージのテキストを開いてみた。

あれっ? ここが痛いときはここを指圧する、ワットポーのテキストはそういう感じで構成されているのだが、なんと、「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル 」に記されている症状と指圧ポイントと異様なまでに一致していることに気がついた。

これは偶然ではない。どちらかが盗んでいる。そう思わざるを得ない一致である。

続く