前回、ピシェット師について色々と書いてみたが、私はピシェット師が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。オールドメディソンホスピタルのシントーン大先生と喧嘩して首になり、自分のスクールを立ち上げて本家を上回るほどの人気と評価を勝ち得、金持ちになり、自由な時間も弟子も得た。その自分の王国を短期間で一人で作り上げてしまった彼の人生は痛快この上ない。彼は商業主義を否定するが、皮肉なことに商業的に最も成功したタイマッサージ師であると言っていい。私は彼のおかげでタイマッサージの本質的なことを明確に意識することができるようになった。スクールのあり方についても多くを学んだ。ピシェット師を神とは思わないが、タイマッサージへの眼を開かせてくれたタイマッサージの師匠の一人として、また、スクールの経営者として尊敬している。
ところで、話は戻るがCCAではタイマッサージの本質は学べないと書いてしまったが、実はそんなことはない。グループレッスンを受けるだけでは学べないが、CCAにはそれを補完するカリキュラムの考え方がある。
リピートレッスンと、プライベートレッスンである。
CCAでは受講料を払うと、同じレッスンを2回受けられることを説明される。実はここに深い意味がある。タイマッサージを学んだことのない人に、私が今まで書いてきたような小難しいことを説明しても、まったくイメージが湧かない。だから、とにかく、まず一回習ってみなさい。というのが一回目のレッスンだ。そして、日本に帰国したら、それを繰り返し行い、あるいは二人で練習し、タイマッサージの本当の気持ちよさはどうすれば実現できるか考えてきなさい、という期間が与えられる。もちろん何も考えずに練習しても意味はないが、こうすると気持ちがいいとか、やる人によって気持ちよさが違うな、とか課題意識を持って取り組むと色々な疑問や仮説が生まれて来る。
その段階で、リピートレッスンを受ける。更に、プライベートレッスンを受ける。これが大事だ。施術の手順や基本的なテクニックを覚えた後に(←これが大事。手順を覚える前にプライベートを受けるとグループレッスンで習うのと同じこと(手順)を習うだけになってしまう)、タノン先生やキム先生のプライベートレッスンを受けると、グループレッスンで教えたよなことはもう教える必要がないので、より深いことを教えてもらえる。どうすれば気持ちがいいか、どういう体の使い方をすればもっと楽にできるか、センやポイントの正確な位置、タイマッサージを上手に行うための本質的なポイントに踏み込んで教えてもらえる。インストラクターコースとかインターン制度もあるが、プライベートレッスンを活用することがタイマッサージの本質をつかむ早道だと思う