もみ返しとは、肩こり等を解消するため強くマッサージ(指圧、揉み、叩き)をした翌日以降に発生する筋肉の痛みである。痛いだけでなく、以前よりも凝り、凝りによる疼痛がより強くなることもある。

タイマッサージにはもみ返しがないと言われる。それはなぜかというと、揉む(いわゆる横揉み)という動作がほとんどないからだ。例えばワットポーで施術を受ければわかるが、ほとんどの動作が、拇指圧、手掌圧、そしてストレッチで構成され、揉むという動作が皆無だ。拇指圧も筋肉面に対して垂直に入れるだけで、指を横方向に揺らしたり回転させることもしない。

ピシットスタイル・タイマッサージには揉み解す手技がいくつか含まれるが、それもごく軽く握って表面を摩るに近い揉みである。

もみ返しは筋肉(筋膜、筋繊維)を破壊することで発生する。強く揉むと筋肉が解れるのでそのときは痛みが取れて楽になる。同時に筋肉が破壊されているのだが破壊されたことによる痛みはほとんど感じない。それよりも、凝りによる疼痛が取れる方が大きいので痛みに気がつかないのである。
痛みは筋肉が修復され再生するときに発生する。運動後に新しい筋肉が作られる筋肉痛と同じだ。しかし、スポーツの後の筋肉痛と異なり、揉み返しの筋肉痛はトリガーポイントを生成して以前にも増して凝りや痛みを発生するからたちが悪い。恐らく筋肉が局所的に破壊されるのがいけないのだと思う。

タイマッサージを初めて習う人は、子供の頃に父親にやらされていた「肩揉み」「肩叩き」がないので戸惑うと思うが、垂直指圧にはこのようなメリットがある