タイマッサージの技術ではないが、手の温かさというのは大事だ。タイマッサージスクールを始めて、多くの方と日常的にタイマッサージをお互いに行うようになると、手の温かさがよく話題になる。やはり温かい手でしてもらうのが心地いいということ、サロンでやってもらうときに手が冷たいと興ざめする等々。温かい手は嬉しいが汗ばんだ手はいやという意見もあった。

マッサージや指圧というのは素手で行う手技療法だが、圧力という物理的な力の刺激だけでなく、温熱という刺激も重要だとされる。それを極端にしたのが灸であり、ハーブ玉であるわけだが、人の手の温かさというのはそれとは異なる独特のものがある。

いわゆるスキンシップということだが、手を握ったりハグをすることには特別な意味がある。特別な意味というのは言うまでもなく愛情だ。人の体温や手が発する温かさというのは人を癒す強力な力を持っている。なぜだかわからないが、それは単純に温度だけの問題ではないような気がする。それは「気」のようなものだ。手をかざすだけで病気を治すという宗教団体があったり、手から気を発して動物や人を眠らせると言うびっくり人間がいたりするが、なぜそういうことが起こりうるのかという研究によると、気というのは電磁波らしい。人の手が熱を放射するときに同時に電磁波も出しているというのだ。そしてその電磁波には「眠れ」とか「倒れろ」という情報がラジオのように乗せられており、それを神経がキャッチし脳に送られると、無意識がその情報を受け取るという仮説である。

たぶん、マッサージをするときの手の暖かさもそういう情報を含んでいるのだろう。暖かい手でタイマッサージを優しく受けているとほとんどの人が寝てしまうのは母親の布団に入ったときの暖かさに通じる安心感を受けているからだと思う。

いくら電気のマッサージマシンが高性能になっても、人の手で行うマッサージの領域にはそうそう到達できないと思っている。