Watpo Thai Traditional Massage School
「ワットポーにはじまり、ワットポーに終わる。」
とは私が今思いついた格言である。
私が初めてタイマッサージを習ってみようと思って行ってみた学校がワットポーだ。タイマッサージの楽しさ、気持ちよさ、タイの人との交流、いろいろな楽しみがあり、観光ついでにちょっとタイマッサージを習ってみようという方には一番のお勧めスクールと言える。一人の先生が担当するのは4名の受講生までと決まっているので、直接先生にしてもらったり先生にしてみたりできるし、料金も安い。手技も難しいものはなく、分量的にも日数的にも受講しやすい。
ワットポーの境内にある施術所は間違いなくタイでナンバーワンの人気だし、そこのセラピストの平均施術レベルもタイでナンバーワンだと言っていいだろう。そのワットポーの施術が学べるのだから日本のセラピストにも一番人気、かと言えばそうではない。なぜか?
まず、これが致命的な理由だと思うのが手技がシンプルすぎて数が少ないこと。全部をしっかりやっても1時間半くらいにしかならない。ワットポーの施術所のメニューも30分か60分だ。短い時間でしっかり解すというのがバンコク系の特徴なのだが、日本で仕事をする際に2時間のメニューをこなせないのは痛い。それでプロを目指す人は、2~3時間のシーケンスがあるチェンマイの学校に行くことになる。
ワットポーにも上級コースがあるので、それを習えば長時間の組み立てが可能だと思うかもしれない。しかし、ワットポーの上級コースは症状別の指圧ポイントを習うだけで、わかったようなわからないような、施術の流れの中には入れにくい感じだしちょっと地味だ。チェンマイでやっているような派手なストレッチ技をもっとたくさん習いたくなるのも理解できる。
ワットポーで2時間の施術を頼むと、スクールでは教えていない、厚生省スタイルの技が数多く入った施術となる。セラピストによって異なるが、今ではワットポーの施術所でもタイ厚生省スタイルの手技が、スクールで教えている手技以上に使われている。ワットポースクールの施術は腰の上げ下げを伴うしっかりした指圧なので、一日中やっていると流石にきついのだろう。スクール自体も、10年くらい前までは受講生が入りきれないくらいあふれていたが、この数年は閑古鳥が鳴いているくらい人気が凋落した。ここの受講生はもともと日本人は少なく、ほとんどが白人とタイ人だったのだが、なぜ彼らが来なくなったのかは謎だ。場所が不便なところにあるし、テロとか、デモとか、バーツ高とか、授業料値上げとか、他のスクールが頑張ってるとかいろいろな理由があるだろう。しかし、ワットポーの手技体系は何も足せない、何も引けないというくらい完璧に効率的で、タイマッサージのエッセンスがすべて盛り込まれている。また安全性も折り紙付きで、手技がシンプルなだけに、初心者でもちゃんとやればプロのように気持ちのいい施術が実現できる。いろいろなスクールで経験を積んでタイマッサージへの理解が進んだ後、久しぶりにワットポーの施術を見たり受けたりすると、ワットポー式の素晴らしさに改めて感動し、ここに幸せがあったのだ、と気づくことになる。まるで青い鳥のように。