サイモンとトラベルによると、トリガーポイントとツボは70%は一致すると言う。ツボに対して、指圧、鍼、灸で(痛み)刺激を与えるのは筋肉の表面、内部にある痛覚神経を刺激することであり、その刺激によって脳と筋肉にバイパスを通すためである。脳は神経を通じて筋肉の痛みを感じ、痛い筋肉を意識する。その瞬間に筋肉を制御する神経系が活性化し筋肉の異常状態が解かれるという仕組みである。つまり、筋肉は弛緩する。

ツボは治療点であるので、トリガーポイント(=老廃物質の滞留)があるとは限らない。それがツボとトリガーポイントが完全に一致しない理由であろう。しかし、痛みを生み出すトリガーポイントの刺激は脳に強い信号を送る。それは圧痛点として鍼灸治療者に知られてきた。いわゆる、「あ、そこそこ、そこを押されると痛き気持ちいい-」というポイントである。圧痛点(=トリガーポイント=ツボ)を治療(指圧、鍼灸)することは非常に効果的なので治療者は触診をしながら「ここを押すとどんな感じですか?」とか聞きながら圧痛点を探す。

トリガーポイントやツボを指圧すると、他の場所に「響く」ことがある。離れた場所が押されたような感覚、または離れた場所に軽い痛みのような感覚が走ることがある。この原因は、前に述べたように、二つの箇所の神経が脊髄で束ねられていて情報が混信して脳に届くからである。古代の人は神経系についての知識がなかったので、単純に二つの箇所が何かで繋がっていると考えた。それがセンであり、二つの箇所はセンで繋がっていると考えた。

続く