サイモンとトラベルによるトリガーポイント理論が一般常識と逆というのはどういうことか?

一般常識では、痛い部分が悪い状態になっていると考える。そしてそこから離れた場所にあるツボを治療(鍼、灸、指圧等)するとなぜか(理由はわからないが)悪い部分が良くなる。その理由は、五行陰陽理論や気、反射区(リフレクソロジー)など神秘的な思想により説明されてきた。タイマッサージではそれがセン理論である。

トリガーポイント理論によると、痛い部分は悪い状態ではない。痛い部分は健康なのだが、痛みだけが認知される。悪い状態なのはツボ(≒トリガーポイント)である。トリガーポイントの存在が離れた健康な場所に痛みがあると錯覚させる。だから、トリガーポイントを除去すれば痛みも消失する。

発想が逆転しているのが画期的だった。「痛い部分は健康」という発想は普通は出ない。だから古来の人は神秘的な説明をせざるを得なかった。

ではトリガーポイントとは何か。トリガーポイントとは筋肉内に滞留している老廃物質である。トリガーポイントができる理由は色々ある。同じ姿勢を続けたり、運動不足によりできる。米粒程度の大きさらしい。

トリガーポイントは痛みの原因になる。痛みは神経を通じて脳に伝わり、痛みとして知覚させる。ところが、体の別の場所の神経も同じように脳に繋がっている。神経は脊髄で束ねられて脳に到達するのだが、困ったことにそこで情報の混信が起きる。身体の中の情報通信はデジタル通信のように精度が高くない。脳は痛いという信号が体の別の場所から来ていると間違えてしまう。

続く