タイマッサージの理論と言えば「セン」である。センはなぜか日本語と同じ線のことであり、英語ではラインとなる。セン理論はインドの伝統医療であるアーユルヴェーダが元になっている。
アーユルヴェーダの師であるプラバロム・クルー・シーウォクゴマパット老師によると、「我々の身体は長さが約1ワー(2m)以下、厚さが約1クープ( 12インチ)以下、幅が約1ソーク以下(1m)で、深さ約2インチの所に定期的な風が通っているセンというものがあり、このセンは身体をきつく締めていて約72000本あり、重要なセンは10本である」ということだ。

中国の経絡理論と似ているが、セン理論と経絡理論は別物である。タイマッサージの指圧ポイントと中国のツボもまた別物である。ただ、人間の体は世界共通なので、結果的に似たようなものになったのだろう。

ところで、そもそもセンとは何なのかはタイでマッサージの先生に聞いてもよくわからない。センはセンであり、風が通っているというばかりだ。人体に空気が通る管などないので、何かが循環しているとすれば血管(血に酸素が溶けているので風が通っていると言えなくもない)かと思うが、押しているポイントは明らかに血管ではない。そこで、医者が死体を解剖して10本のセンに対応する何かがあるかと調べてみたが、何も無かったという。

センとは医学的には何なのか? いったい我々は何を押しているのか?

謎は深まるばかりである。

続く