私は一つの仮説を持っている。

「辛いものが好きな人は、強い(痛い)マッサージを好む」

下の写真は、バンコクのピシットタイマッサージスクールでの夕食光景である。ピシット先生がいるときには毎日昼と夜に皆で食べる。
ビルの地下の屋台から惣菜を買ってくるのだが、こういうのがタイ人の通常の食事だ。そしてそれが、辛い・・・
辛いのに、この写真の若い女性もおばあちゃんも先生も、全く辛くないかの如く、涼しい顔をして食べている。タイ人は常に激辛を普通に食べている。

そして、この子達とタイマッサージの練習をすると、「もっと強く!」という言葉が返ってくる。日本人のこの年代の女性にする感覚でやると戸惑うくらい、強い(痛い)マッサージを好む。

以前、このブログで、「タイ人のマッサージセラピストは痛いくらいに強くやる」と書いたことがあったが、タイ人が強いマッサージを好むというのもその一因だ。ではなぜタイ人が強いマッサージを好むのかというと、その理由の一つが「辛さに慣れているから、痛みにも慣れている」からではないかと考えている。

そもそも、辛いという味覚は、痛覚である。舌の痛みが辛さであり、辛いものを食べるとその痛みを和らげるために脳内モルヒネが発生する。辛い=快感となる。だから、辛いものを食べるのがますます好きになる。

痛みについてもそのメカニズムは働くので、痛さに慣れてくると快感を伴うようになる。だから、子供の頃は辛いのも痛いのも何が嬉しいのかさっぱりわからないのが、大人になると嬉しくなる(痛いのが嬉しいというのは語弊があるが・・・)。

どちらも痛覚なので、辛さに慣れている人は、身体の痛みに対しても脳内モルヒネが出やすくなっていて、痛いのを好むのではないか、そういう仮説だ。

実際に、何人かの人に聞いてみたら、すぐに痛がる人はやはり辛いものも苦手、強押し好きは辛いもの好きであった。

まだサンプルが少ないので偶然かもしれないが、タイ人と日本人のタイマッサージの強さの好みの違いを理解する上で、味覚の違いのようなものというのは一つの説明になるのではないかと思っている