NHKスペシャル「病の起源 腰痛」を見た。

「腰痛は二足歩行を始めた人間の宿命」というのはよく使われるフレーズだが、それは正確ではないのだと言う。

二足歩行そのものが悪いのではなく、田植えをするような腰を曲げた姿勢を長時間とることが腰痛の直接的な原因になるらしい。このシリーズの全体を支配するテーマが「文明やライフスタイルの進化に、体の機能の進化が追いつかないことが病気の原因になる」ということがあるのだが、腰痛も然りということだ。稲作が始まったのは数千年前という最近のことだが、現代人の体はそれ以前に長く続いた狩猟生活に最適化されている。だから、田植えの姿勢を取る事は人体にとって想定外なことで体が壊れてしまう、そういうことだ。

あと、数万年すれば、そういう姿勢に耐えうる体に進化した人類になるのだろうが、それまで待ってはいられない。どうすればいいか。

田植え以外にも、工場のラインでの作業、パソコンでの作業、建設作業等々、腰に負担をかける姿勢を長時間取る人は多い。だから多くの人が腰痛になる。腰痛は椎間板の損傷が原因なので、椎間板の損傷が引き起こす二次的な筋肉の収縮による痛みは(筋肉を弛緩させることで)軽減することができるが、根本原因をマッサージで取り去ることはできない。腰痛の人は生活習慣を変えなければならない。

とにかくそういう姿勢を長時間取らないこと、できるだけ背筋を伸ばし、姿勢の異なる作業を入れたりしながら腰への負担を減らすことが大事だ。そして、NHKスペシャルで言っていたことは歩くことが椎間板の発育にとてもいいということ。太古の昔の人類がやっていたことをやりなさいということだ。

タイマッサージのセラピストも人ごとではない。猫背でタイマッサージを行うと確実に腰痛になる。セラピストは業務で歩くことはないし、ほとんど同じ姿勢で施術を行う。背筋を伸ばして施術を行う、そして意識して歩いたり、体操をしたりすることが体調管理に必要だ。マッサージでよく使う高さのあるベッド、あれも有効だ。高さのあるベッドは膝への負担、そして腰への負担を減らす。オイルマッサージもやりやすいので、自宅開業の人も、長時間施術をするようになったら購入を検討してもいいだろう。