FAXを買った。

今まで使っていたFAXがなぜかFAXを受信しなくなったからだ。最近は、修理代を考えたら買ったほうが安い得ということもあるし、最近の機種は省エネ、高機能なので買い換えることにした。

で、子機付きFAX(KX-PW308DLW)を買ったのだが、ちょっと驚いた。まず値段が10502円だったこと。今まで使っていた機種はPanasonicのおたっくす(KX-PW3CL)で、15年前に買ったものだ。感熱ロール紙で、留守電はマイクロカセットテープに録音する。子機もついている。取扱説明書に挟まっていた領収書を見ると、定価88000円で大阪日本橋で61635円(税込)で買っている。買いに行くだけでも大変だったが、今回はamazonで買ったので宅配付きで10502円(税込)なのだ。しかも、小型化し、機能も豊富だ。FAXは30枚もメモリーで受信するので常時紙を入れておく必要はない。着信していたら必要に応じてプリントすればいい。そして、待機電力が劇的に減っている。おたっくすは7Wだったが、この機種は0.7Wである。これはでかい。年間の電気代が1000円くらい節約される計算だ。

15年前の1994年といえば、windows95が出る直前、携帯電話の普及が始まった頃だ。つまり、デジタル、ネットワーク技術が一般化し始めた時期だ。当時、デジタルやマルチメディアが家電を変えると言われていたが、どう変えるのか正確にイメージすることができていた人はほとんどいなかったのではないだろうか。デジタル革命は情報通信革命、映像も含めて劣化のない高品質な情報を場所を問わずにやりとりできるくらいにしか考えていなかった。

そして、デジタル技術は家電にも徐々に取り入れられて行き、家電の機能は飛躍的にアップし、小型軽量化もした。しかし、同時に価格も劇的に低下した。部品のモジュール化により途上国で安く製造することが可能になったからだ。これがデジタル革命の本質だった。家電メーカーはたまったものではない。価格が5分の1になれば売り上げもそうなる。そして利益は恐らく10分の1以下になる。製品の市場規模が縮小したのと同じことなのだ。そういうことがFAXだけでなくすべての家電に起こったので今、日本の家電メーカーが危機に瀕しているわけである。

しかし、そういう機器を使う側にとっては天国のような時代だ。事務機器だけでなく、昔は1000万円もしたようなサーバーを10万以下で買うことができ、インストールするOSやソフトウエアも無料(LINUX)。光ネットは月6000円で使い放題。その他、こんなことをしたいという多くの望みが超低価格で実現できる。だから多くのベンチャー企業が生まれる。そういうものを使いこなして効率化、低価格化を進め、旧来の高コスト企業に取って代わる。デジタル革命は企業の新陳代謝も促す。

白く輝く、1万円のFAXを見ながらここまで考えてしまった