もう30年くらい前の話だが、タイに行ったとき、バンコクの屋台でコピーの腕時計とか音楽のカセットテープとかを買っていた。どちらも違法なのだが、当時は今と違っておおらかな時代で、現代と違ってそれほど罪悪感もなく、気に入った音楽が見つかったら音がいい正規のCDを買っていたので音楽産業にそれほどダメージを与えるものでもなかったのだろう。古き良きアナログ時代である。
その時に買ったカセットで、年毎のヒット曲をまとめたカセットのシリーズがあった。1981年とか1982年とかのヒット曲が一つのカセットに入っていた。日本やアメリカでヒットしていた曲と、タイでヒットしていた曲は微妙に違うようで、私は当時かなり音楽を聴いていた方だが知らないグループや曲もあった。その中でひときわ記憶に残っていたAsiaという曲がある。Asiaというロックグループではなく曲名がAsiaだ。ユーロビートに乗せた女性ボーカルの明るい曲で、オリエンタルな音を入れて西洋人から見たアジアへの憧憬が感じられる、バンコクを旅するときにはぴったりの素敵な曲だ。かなりいい曲なのだが、日本では全くヒットせず、紹介すらされず、その存在を知っていた人は皆無に近いと思う。その後、CD時代、ipod時代が到来し、当時のカセットはすべて捨ててしまったが、ふとその曲のことを思い出し聴きたくなった。しかしタイトルがAsiaである。検索しても出てくるのは別の色々なAsiaであり、探すのは苦労したがついに見つけた。グループ名はMOでドイツのグループだったらしい。そしてyoutubeで久しぶりに聴くことができ感動した。

久しぶりに聴いてもいい曲だ。歌っている人の声もいい。歌もうまい。

ここからが本題である。コロナで仕事が減って、しかも旅行にも行けず、飲みにも行けず、暇暇でテレビやNETFLIXも見つくし、最後にやる暇つぶしはyoutubeとなる。最近はyoutubeで昔好きだった曲を見るのが好きだ。音楽が好きだった当時、アメリカのバンドはビジュアルが一緒にミュージックライフとかの雑誌やベストヒットUSAとかで紹介されるのでなじみがあるのだが、ヨーロッパ系のバンドは曲だけがヒットしてどんなビジュアルかレコードジャケット以上の情報がないのが普通だった。例えば、41年前の1979年、ジンギスカンというグループのジンギスカンという曲が大ヒットした。ラジオで繰り返しかかるくらいで洋楽曲としてはホテルカリフォルニアくらい誰でも知っていたのだが、ビジュアル情報が全くなかった。その後、インターネットが登場し、インターネット黎明期、youtube前の2ちゃんねる文化の白眉として語り継がれるモスカウという一連のコンテンツを見る中でジンギスカンが動く姿を見て驚愕した。歌わないで踊っている先頭の背の高い人も素晴らしいが、後ろの女性ボーカルの一人がとっても素敵で、音楽それ自体よりも歌い踊るビジュアルが何倍も素敵で、当時この映像があったらABBA並みに人気が出たような気がする。

そして話は戻るがMOのAsiaである。コロナで暇つぶしに色々検索していたら、なんと、その曲のライブ映像を発見してしまった。歌っている女性がどんな人だったのか、声は素敵だが、ちょっと地味な女性か、パンクでファンキーなぶっ飛んだ女性か、これまで想像していた感じだろうか、胸の高まりを抑えきれず、文通相手に初めて会うような期待と不安を持ちながらその映像を見た。

眼が釘付けになり、息をのみ、驚きで固まってしまった。

素敵すぎる・・・、こんなに素敵な人が歌っていたのか。。。

本当にびっくりした。表情、口の動き、振り付けもいい。ベリンダ・カーライルやスザンナ・ホフスよりももっと素敵なのではないか、動いているRosie Velaを見たとき以上の衝撃を受けた。しかも動きがピコ太郎みたいでかわいい。これがその映像である。コメントを見ると私と同様、感動している人が数多くいることがわかる。デジタルインターネット時代が来て、Asiaを映像で見ることができ、生きててよかったと思える今日この頃である。