何年か前に、一本の電話があった。その電話の主によると「娘がそちらのスタジオのメンバーで、今も会費の引き落としが続いているはずなので止めてほしい」とのことだ。

退会なら本人が連絡すればいいのにと思って聞いていたが、引き続き語られた内容に言葉を失った。

「娘は先日がんで亡くなった。がんになってからはあまり外出もしなくなったのだが、娘はそちらのスタジオでヨガをするのをいつもすごく楽しみにしていて、体調が多少悪くても欠かさず通っていた。末期には髪が抜けてしまったが、病気であることは知られたくなかったのでかつらをかぶって通っていた。おかげで娘は最期まで元気な気分を保つことができた。とても御世話になり、本当にありがとうございました。」

その方は祐天寺の古くからのメンバーの方なので私もよく知っている。何度もお会いしている。しかし、そのことは知らなかった。あまりお話をされず、黙ってレッスンに参加されていたので、そんなに楽しみにしていて、楽しく参加しいたとは思いもよらなかった。インストラクターの誰も知らなかった。

なんだか、その方から大切な贈り物をいただいたような気がした。毎日、業務に追われるなかで事務的にお金をいただきレッスンを提供する、そんなレッスンでこんなに喜んでくれている人がいた、私の行っている事業が一人の人の幸せにこんなに貢献することができていた・・・。感無量とはこのことか、この仕事をやってきてよかったと心から思った。涙が流れた。私たちが提供するレッスンはこんなに意味のあるものだったのだ、これからも気を引き締めてがんばろう、新たなやる気がわいてきた。

○○さん、ありがとうございました・・・