このところ、立て続けに寂しいことがあった。
まずは、三軒茶屋のサンクチュアリというバー。フーディアムの前に2年ほど前にできたスポーツバーなのだがこのバーがあるビルには因縁があり、私が三軒茶屋にヨガスタジオを作ろうと物件申し込みをしたのだが小さい会社はだめだと断られた。そのビルにあったバーだ。内装もとても豪華で、私が断られたビルに入っているのだから立派な会社だと思っていた。それを思い出して、2週間前に一度行ってみようと思い立った。行ってみるとそこには何もなかった。シャッターが下りていたので一階のパン屋でバーはどうなったのか聞いてみたら6月末で閉店したらしい。2年持たなかったことになる。
私を断ったビルなのでざまあみろと思いたいところだが、実際にはなんだか寂しかった。考えさせられた。私は別のところに入居して幸いなことに繁盛している。このバーがなぜ上手くいかなかったのかは想像に難くない。私も店を始めるときに店舗プロデューサーなる人から飲食店を勧められた。料理人も知らないしと断ると、カタログを取り出してきてこういうレトルトや冷凍食品でメニューなんかできる。飲食店は内装次第だと説得された。直感的に断ったが、そういう人種はそうやって相手をおだて上げ、高額な内装工事を受注することが目的だ。その後、その店がどうなろうと興味はない。そういう輩に引っかかったのだろうと思う。実際には内装などどうでもいい。飲食店をやるならどこよりもうまいことが唯一重要なことだ。バーならどこよりも居心地がいいことが大事だ。その見本が祐天寺の「ばん」なのだがそこについてはまた今度書いてみたい。
私が入ろうとしていた3階にはお好み焼き屋が入っていた。そこを覗いてみるとファミレスのようなきれいな店内に1組の客のみ。ここが潰れるのも時間の問題だろう。もし私がここにヨガスタジオをオープンしていたらどうなっていただろうか、家賃も高いし駅からも少し遠い。今頃サンクチュアリのようになっていたかと思うと背筋が凍る思いであると同時に、断られて余程運が良かったとも思う。
競合他社ではないが、意識していた店が潰れていくのは自分の店が潰れていくようで悲しく、寂しいものである。ライバルは元気であってこそ、こっちもやる気が出る。
ライバルと言えば、ヨガスタジオを始めたころ、素敵だなあ、あんな店をいつかやりたいなあ、と憧れていた麻布十番メローボーテも、川崎のカルナスタジオプラスも閉店した。最近では渋谷のwired fitも、私と同時期にヨガスタジオをスタートした六本木のportも閉店したらしい。どの店も私の店よりもずっと立派に見えたし、私の店をもっと良くしないとと刺激を受けた店ばかりだ。利益が出ていれば閉店する理由はない。赤字が続き持ちこたえられなくなって家賃が払えずに店は終焉する。内装工事がどれだけかかるかもよくわかるのでうまくいかずに撤退した経営者の気持ちが我がことのように心が締め付けられる。
今度、中目黒にもスタジオをオープンするが、スタジオを支えてくださっているメンバーの方々、そしてインストラクター達の日々の努力には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。多くの方の支えで生かされているのだとしみじみ思う