トークセンというタイマッサージの流派がある。トークセンとは、木槌でセンを叩いて行く手法で、その姿はあたかも鑿(のみ)で彫刻をしているようである。

ジャン・シャーイ師(女性)はチェンマイ近郊の村に住むトークセンの使い手で、その筋ではかなり有名らしい。私も機会あって、実際に受けてみたことがある。

施術は木槌だけではなく、一般的な手掌圧や母指圧も使う。そうして、体の状態を手で確認した後に、先が丸くなった棒をツボに当てて木槌で叩く。好きな人はたまらないという話なのだが、骨にビンビン衝撃が伝わってきて正直驚いた。骨を叩いているわけではないのだが、カンカン叩くので結構強い刺激である。その感じはフットマッサージで使うスティックとは全く違う。棒を押し当てているのではなく、木槌で叩いているのだ。コリを砕いているという感じに近い(正確には、痛み刺激を受けた脳が反射として筋肉を弛緩させるのだと思う)。

恐らく、私の体がそれほど凝っているわけではなく、トークセンを必要としていなかったのだろう。カチカチに凝っている人のコリを解す(粉砕する?)にはいいのかも知れない。

タイでトークセンをやっている店を探すのは至難の業である。つまり、私と同じような感想を持つ人が多いのだろう。そのため、メジャーにはならないが、非常に面白い手技なので、後継者を育て、その技をしっかり後世に伝えて欲しいものである。