タイマッサージには足を使う手技(足技と言うべきか?)が多数ある。
その理由は二つ。

第一に、手や腕では圧が足りないので足で全体重を乗せる、あるいは脚の筋力で強力に圧をかける必要がある場合。例えばハムストリングの加圧には足を使うことが一般的だ。

第二に、施術者自身が楽であること。足で踏むなら、指にも手首にも負担がかからず、立った姿勢で行えば腰にも負担はかからない。

主に第二の理由をかかげ、足を多用する手技が(日本で)目立ってきているように思える。

ところが、タイでは足を使うのは主に下半身に限られる。足で腕や首周りも蹴ったり踏んだりして解す手技を教える有名な先生がチェンマイにいるが、その先生の生徒以外のタイのセラピストがそのような手技を実際に顧客に対して行っているのを見た事がない(されたこともない)。確かに、足を使っても手で行うのと同様に効果的であったり、手でやるよりも効果的な場合があることは認めるが、足を使うことは大変失礼なことと認知されていることもまた事実である。

タイにおけるタイマッサージは王室に近いほど手、指で行う手技がメインになる。高貴な人に対して足を使うことなどもってのほかだからだ。
だから、お金を支払ってくれる顧客に対しても同様に上半身に対して足や膝を使うことはない。実際にされてみればわかるが頬の横に足があるのは気分のいいものではない。自分が楽に行うために相手に不快な思いをさせるのは本末転倒というものだ。

上半身の筋肉は手や腕でも十分な圧がかけられる。相手を思いやる、相手を尊重する気持ちがあれば、足で肩や腕を踏むようなことはできないと思っているのは私や一般的なタイ人だけのなのだろうか・・・