なんとなくテレビを見ていたら驚くようなことを放送していた。

ゆで卵のむき方である。新鮮な卵は白身が薄皮にくっついてしまってむき難いのは誰しも経験したことだと思う。ネットで検索しても、「古くなってからゆでる」「冷水ですぐに冷やす」等ばかりで決定的な方法は見つけられない。

番組ではまず、ゆで卵工場では卵を二週間寝かせてから茹でることを紹介していた。そもそも、なぜ皮と白身がくっつくかと言うと、白身に含まれる炭酸が茹でたときに膨張して白身を皮の繊維に押し付け、繊維が白身にめり込んで癒着するからだそうだ。2週間寝かせると炭酸が抜けるのでくっつかない。

次に紹介していた方法が画期的だった。炭酸が原因なら炭酸が抜けるように茹でればいい。その方法は、

茹でる前に卵の丸い方の底をスプーンで割っておく

すると、茹でている最中にそこから炭酸がぶくぶくと抜けていく。そして、古い卵と同様につるっとむけるのだ。

この方法がすごいのは、通常むき方を考える場合は茹でた後にどうするかという発想になるのだが、そうではなく、「ゆでる前に」対策を施していることだ。誰でも茹でた後のことしか考えないのでこれまでこの方法は誰も思いつかなかった。「茹でる前」という180°発想を転換したときに発明は生まれた。

画期的な科学技術の発明も結局はこういうものである。先入観に囚われて発想の幅が小さくなっている、その範囲の外側に答がある。その答は多くの場合、アクシデント(実験の失敗や偶然)によって発見される。
だから、ゆで卵のむき方を発見した人も、たまたま割れた卵をそのまま茹でたらむけたとか、そんなことだったのかもしれない。たかだか、卵のむき方だが、人類の知恵、発想の転換のいい例といえるだろう。コロンブスの卵part2と言ってもいい。

こんな簡単な方法でゆで卵が簡単にむけるとは・・・。苦労する時間が1分として、どれだけ無駄な時間、無駄なストレスを費やしてきたことか・・・
にんにくの皮のむき方を知ったとき以来の衝撃だった。

このように科学で原因が理解できれば解決策が見つかる。マッサージの分野はまだまだ未解明なことが多いが、科学的な理解が進めばますます効果的な方法が見つかっていくのだと思う