タイマッサージのセラピストには冷え性の人が多い。タイマッサージは体にいいと言いながら本人が冷え性では説得力がない。まあ、セラピストは自分がタイマッサージを受けるわけではないのでそれは仕方がないのだが、タイマッサージの真髄は「する方にもいい効果がある」であり、セラピストが不健康なのはマイナスイメージだし、やはり人を健康にする人が不健康というのはいいことではない。そして、タイマッサージの場合、施術者の手足が冷たいのは結構ディスアドバンテージとなる。

手足が冷たいセラピストの太腿を足でマッサージすると、非常に柔らかいことに気づく。筋肉の絶対量が少ないのだ。なぜ、筋肉の絶対量が少ないか、それはタイマッサージのもうひとつの真髄「施術者が疲れない」工夫にある。タイマッサージの施術の順番は施術者の移動や動作を最小限にするように工夫されている。あっち行ったりこっち行ったりしない。そして体重をかけて圧力をかけるので腕力や握力はほとんど使わない。このためセラピストは一日中座った状態となり極端に運動不足になる。

筋肉量が少ないと健康にとって2つの問題が発生する。ひとつは基礎代謝が落ちるため太りやすい体質になる。もうひとつは、体の熱を生み出す(これが基礎代謝)筋肉が少ないため、体が必要とする熱を作り出せず、熱が手足の末端に行き渡らない。これが冷え性である。

筋肉が少なく、体脂肪率が高くなってしまうと熱が脂肪の厚みに阻まれてますます手足の表面に届かなくなる。太ることが冷え性を助長する。

体脂肪率が上がること、そして冷え性になるのはセラピストの職業病と心得なければならない。それを防ぐには積極的に運動するしかない。ピシット先生は毎朝ジョギングをしているし、ルーシーダットンも怠らない。ワットポーの先生達も毎朝集まってルーシーダットンをしている。人を健康にする前に自分が健康になる、これはとても大事なことだ。