タイのビール

タイには幸いなことに発泡酒やリキュール(発泡性)などという変な飲み物はない。おかしな法律を作って、わざわざまずい飲み物を作って飲む国民など日本人くらいなものだろう。私も発泡酒を毎日飲んでいるが、飲みたくて飲んでいるわけではない。製造コストだって大して変わらないのだから(家庭では今や発泡酒が主流という)現状を踏まえてビールの酒税を発泡酒並みに下げるべきだ。業務用のみ現在の税率を維持すればよい。

話が脱線した。

タイには発泡酒はないが、ビールの値段は2段階ある。高いラインは、シンハ(ビヤシン)、ハイネッケン、カールスバーグ等である。ハイネッケン、カールスバーグはもちろんタイのブランドではないが、タイで製造され、レストランなどではシンハと同列に飲まれている。20年ほど前にはシンハと人気を二分してたクロスタービールは最近はあまり見ることがなくなった。代わりにメジャービールに躍進したのがビヤ・チャン(象のビール)。こちらは安いラインの代表的な銘柄である。セブンイレブンでの大ビン価格はシンハが160円なのに対しチャンは100円程度である。

タイにも冷蔵庫はあり、ビールは冷えているのだが、タイの人はビールに氷を入れて飲むのを好む。ビヤ・チャンはこの飲み方に最適なアルコール濃度と切れのいい味わいで一躍人気ビールになった。安いラインのビールにはその他、ビヤレオ、Cheersビールがある。レオは普通に飲みやすいビールだが、Cheersはフルーティな味わいのビールだ。サントリーのプレミアム・モルツが好きな人は気に入るかも知れない。

私が良く飲むのは屋台ではビヤチャン(氷を入れる)、レストランではハイネッケン(氷を入れない)が多い。シンハもうまいのだが、最近はちょっと味がくどく感じるのでバーのドラフト(生ビール)以外のシンハはあまり飲まなくなった。

今、自宅では安さに目が眩んでサントリーマグナムドライゴールドを飲んでいるが、いつも氷を入れて飲んでいる。以前では考えられないことが今では常識になってしまった。恐るべしタイビール。

手の温かさ(2)

タイマッサージをするのに、手は温かい方がいいのはわかっていても、手の温かさなど意思でコントロールできるものではない。どうすればいいのか?

一般的に男性の手は温かいことが多い。その理由は熱を生み出す筋肉の量が多いからである。食べる量も多いのでカロリーがどんどん燃焼されて手足まで暖かい。このため、女性の方でも男性の手でのマッサージを好む人は多い。

女性は筋肉量が少ない上に、ダイエットのための食事制限をしていたりしてカロリーも不足気味である。だから手は男性ほど温かくない。

女性、特に冷え性気味の方の手を温めるにはどうすればいいか。筋肉量を増やして基礎代謝を上げることが一番なのだが、それは女性が好むことではなく、また、地道な努力も必要である。

簡単なのはマッサージを始める前にお湯やホッカイロで手を温めておくこと。冷たい水で手を洗うのは避けたほうがいい。ファーストタッチは非常に重要で、それが温かければ、この人の手は温かいという印象ができるので勝ったも同然である。
そして、タイマッサージの間はとにかくリラックスすること。深く呼吸しリラックスして相手の体温を貰っていけば手の温かさは保たれるだろう。

書きながら、当たり前のことを書いているような気がしてきた。この件についてはもう少し研究が必要なようだ。

タイマッサージ師列伝(1)

私は数多くのタイマッサージを受けてきて、誰が一番ということを議論すること自体無意味なことを知っている。だから、有名なタイマッサージ師やすごいタイマッサージ師は誰かということを話すことも好きではない。そういう話事態が意味を成さないのだ。なぜ意味を成さないかというと、タイマッサージというのは技術ではなく心だからである。いくら技術に優れていても相手に対する心が伴っていなければその施術は空虚となる。

心のあり方は同じ人でも常に一定ではないし、技術や経験とは別の次元の話である。だから誰が一番というのも定常的に決まるものではない。

しかし、この世界、有名なタイマッサージ師というのは存在する。なぜ有名かというと、その人独自の世界を構築したからである。シントーン氏はチェンマイスタイルの創始者だから有名だ。しかし、シントーン氏のチェンマイスタイルをいくら極めてもそれだけでは有名にならない。そこにその人の個性や、独自の手技をアレンジしたり、個性ある学校を創始してこそ有名になる。そういう意味で有名なのであって、施術のレベルのランキング上位だから有名ということではない。

それを踏まえて、タイで著名なタイマッサージの先生の紹介をしていきたいと思う。

続く

手の温かさ(1)

タイマッサージの技術ではないが、手の温かさというのは大事だ。タイマッサージスクールを始めて、多くの方と日常的にタイマッサージをお互いに行うようになると、手の温かさがよく話題になる。やはり温かい手でしてもらうのが心地いいということ、サロンでやってもらうときに手が冷たいと興ざめする等々。温かい手は嬉しいが汗ばんだ手はいやという意見もあった。

マッサージや指圧というのは素手で行う手技療法だが、圧力という物理的な力の刺激だけでなく、温熱という刺激も重要だとされる。それを極端にしたのが灸であり、ハーブ玉であるわけだが、人の手の温かさというのはそれとは異なる独特のものがある。

いわゆるスキンシップということだが、手を握ったりハグをすることには特別な意味がある。特別な意味というのは言うまでもなく愛情だ。人の体温や手が発する温かさというのは人を癒す強力な力を持っている。なぜだかわからないが、それは単純に温度だけの問題ではないような気がする。それは「気」のようなものだ。手をかざすだけで病気を治すという宗教団体があったり、手から気を発して動物や人を眠らせると言うびっくり人間がいたりするが、なぜそういうことが起こりうるのかという研究によると、気というのは電磁波らしい。人の手が熱を放射するときに同時に電磁波も出しているというのだ。そしてその電磁波には「眠れ」とか「倒れろ」という情報がラジオのように乗せられており、それを神経がキャッチし脳に送られると、無意識がその情報を受け取るという仮説である。

たぶん、マッサージをするときの手の暖かさもそういう情報を含んでいるのだろう。暖かい手でタイマッサージを優しく受けているとほとんどの人が寝てしまうのは母親の布団に入ったときの暖かさに通じる安心感を受けているからだと思う。

いくら電気のマッサージマシンが高性能になっても、人の手で行うマッサージの領域にはそうそう到達できないと思っている。

ポスティング(3)

やはり、広告はきちんとやらないといけない。そこで、広告として何が有効か考えてみた。

1)ホットペッパーのような情報誌への広告
2)WEBの検索サイトへの登録
3)ポスティング
4)癒しフェア等のイベント出展

取り合えず、すぐに実行できるポスティングをやることにした。チラシを急いで作り、徒歩5分圏内のすべての世帯に配ってみた。要したチラシ枚数は約8000枚である。

すると、WEBサイトへのアクセスがどーんと増え、翌日から体験予約の電話がよくかかってくるようになった。チラシを見て入会してくださった方が80名ほどなので、百分の一くらいの効果が見込めることになる。

その後も、数カ月おきにチラシを配ってみたがやはり、配ったら配っただけの効果がある。同じエリアに配ったとしても効果がある。

そういうことを繰り返しながら、あることに気が付いた。月末の来店者数が際立って多いのだ。これには明確な理由があった。

続く

スワンナプーム未だ開かず

なんと、バンコク国際空港は6日間たった今も離着陸できない状態が続いているらしい。一週間と言えば一年の50分の一である。つまり、国家経済の2%に大きな負の影響を及ぼすことが公然と行われているわけだ。

ニュースによると、反政府が道路に検問所を勝手に設置して、デモ阻止の動きを阻止しているとのこと、それは政府側がすることではないのか? 全く訳がわからない。数年前のネパールで反政府毛沢東主義派が田舎で勝手に関所を作って通行料を徴収していたことがあったが、それ以上にナンセンスな世界だ。

既に抗議集会の域を超えている。国家経済を破壊する穏やかなテロ行為である。デモは人に迷惑をかけないことが暗黙のルールだが、それをいとも簡単に無視するタイ人。

そういう行為に対して対話に応じる政府も政府である。われわれにとっての非常識は彼らにとっては常識らしい。

そういう理不尽さ、不可思議さをなんとも思わないのがタイの文化と言うべきか。タイの社会ではそういうことが多々ある。

タイマッサージに関係のない話のようだが、こういうタイ人の考え方、思想を知ることは、タイマッサージの理解を大きく助ける。

タイマッサージの手技構成や理論体系もそういう理不尽さを大いに含んでいるのである。

政治的なことは客観性がないので話題にしたくなかったが、あまりの出来事につい感情的になりこんな文章を書いてしまった。タイの観光業、ホテル経営者、そして外国人向けの各種サービス、とりわけタイマッサージサロンの人たちはとても困っていることと思う。外国人が来なければ大赤字で、生活や経営の危機に瀕していることだろう。

抗議行動は大いにやってもらいたいが、政府に不満があるからと言って政府に無関係な民間の人に打撃を与えるのはデモの暗黙のルールを完全に逸脱した(空港に爆弾をしかけるの同様の)犯罪行為なのだが、それを国民が暖かく見守っているのは、国民の大部分がこの抗議行動を支持していると理解するべきなのだろうか・・・

ポスティング(2)

要するに、どんなにいい商品でも、いいサービスでも、その存在を知られていなければこの世に存在していないのも同じ。誰も来ないのは当然のことであった。

この事態に気が付いたのはオープンから3日後、道行く人との会話で気が付いた。誰も何の店だかわかっていなかったのだ。

WEBサイトで告知したからといって、知ってもらえるかと言えばそれも甘い。WEBも実店舗も同じで、公開しても見ている人などほとんどいない。ワールドワイドウェブどころか、一日に一人も見ていないのが最初のWEBサイトだ。

これはやばい。急いで説明文を作成してカラープリンタでプリントして近所に配ったが焼け石に水である。カラープリンタの能力、コストでは数百枚が限度で、そんな数は一時間もすればなくなる。そして、そんな品質のプリントは二流感を示す効果しかない。依然として客は来ない。

続く

ポスティング(1)

タイマッサージスクールやサロンを新たに始めるとすれば、まずやるべきことはポスティングである。インターネットの検索サイトやホットペッパーなどのフリーペーパーでの広告も意味があるが、ポスティングは費用が低く、そして劇的な即効性がある。

私がこのスクールを始めた時、私は綺麗な店をオープンすればすぐにお客さんで溢れるという幻想を抱いていた。正社員であることが持てはやされる今の時代、超優良企業の正社員という地位を捨てて起業するのは大変な勇気が必要だ。何の根拠もなく、「自分がやれば必ず成功する。初日から大入り満員だ。アルバイトをたくさん雇っておかないといけないかな」という幻想でも抱いていたからこそ思い切ったことができた。幻想は悲劇だが、起業という道に踏み出すには必要なことだ。

初日、そして、オープン1週間、誰も来なかったのは言うまでもない。正確に言うと何人かが興味深げに来てくれたが、言うことは「ここは何の店ですか?」「いつオープンするのですか?」であった。

続く

バンコクのスワンナプーム国際空港閉鎖?

タイでは伝統的にクーデターによって政権交代するらしい。だから、選挙と同等か、それ以上にクーデターの結果が正当化される。だから、現在の首相府や空港占拠に対して軍・警察は行動を起さない。なぜなら、市民団体はクーデター政権(=軍)を支持しているのであり、軍部がそれを取り締まる理由がないのである。

ここで大きな疑問が持ち上がる。軍は政権に支配されているのではないのか? どうやら、軍部は政権に支配されているようで支配されていないようだ。近代国家では考えられない支配構造である。おかしいことなのだが、そういうものだと考えるタイ人。とにかく余り深く考えないようだ。

おかしいと言えば、空港がデモ隊で簡単に麻痺すること。成田空港で同じことをしようとしてもまあ不可能だろう。そんなことができるなら、成田反対派がとっくにやっている。いったい、空港警備はどうなっているのか、こんな空港でテロは大丈夫なのか。そんなことも深く考えないタイ人。

愛すべき人たちなのだが、一緒に仕事をするには精神的なハードルを越える必要がありそうだ。

バンコクのスワンナプーム国際空港閉鎖?

バンコクの国際空港が市民団体に占拠されたため飛行機の離発着ができなくなっているらしい。

理解に苦しむ事件である。この事件を理解するにはタイ人気質を理解する必要がある。

市民運動というと、正しいこと、社会のためのことをやっているように思えるが、まずそこがおかしい。現政権は正常な手続きを踏んだ選挙で決まったものであり、クーデターで生まれた政権なんかより余程由緒がある。なぜバンコク(都市部)の人がそれに納得しないかというと、その選挙結果は都市部ではなく農村部の人が投じた票によって決まったからである。感覚的には、東京都知事が北陸の人の選挙で決まったようなものか。

かといって、仮に現政権が退陣しても、また選挙を行うだけのことであり、また、都市部の人にとって気に入らない結果になるに違いない。だのに経済活動を犠牲にしてまで(余り意味のない)運動を行う。南国の人は先読みをしない、時間に対して大らか、結果として計画性が低い、ということなのか。

続く